熊本 その3

前回の投稿から3ヶ月以上が経ち、時は2011年2月です。
ちょっとサボり過ぎですね。
反省。


前回は熊本市の下通りアーケードから横道へと抜ける『黄昏クラブ通り』に辿り着いた所まで書いたっけ。

周囲の風景は、今でも鮮明に覚えている。
ただ、名称は『クラブ通り』のみが一般的なのかもしれない。
クラブ通りにはたそがれ東館というビルがあり、栄通りに抜けた所に、西館があった。
それでも通りの入り口には確かに『黄昏クラブ通り』と小さく案内があったので、僕は今でもそう呼びたい。

クラブ通りから南へ1本ずつ動けば、酒場通り、銀座通りと良い感じの名称があった。
銀座通りは少し広めの車道がアーケードを横切り、そこでも唄っている連中がいたっけ。

僕は何より、唄う場所を探した。
すると、クラブ通りにはエントランスを大きく取ったテナントビルがある。
そこならば目の前を通るタクシーの邪魔にもならず、右側でシャッターを下ろしたチワワ専門のペットショップ前(時は恐らく 「どうする~ア○フル~」 のCM影響で空前のチワワブームだった)ならば、唄えそうな感じだ。
今では十数年を唄い回った飲み屋街の中でも、なかなかの好条件だった。

僕は、珍しく躊躇しなかった。
さっき使ったばかりの手書き看板を出すと、おもむろに演奏準備を始めて唄い出した。
「本日、熊本初上陸! 広島から旅をしています」といった内容だったはずだ。
『旅唄い』を名乗り始めたのはその後からだったが『手塚 幸』は名乗っていた。
ちなみに僕の『手塚』は芸名で『幸(みゆき)』が本名だ。よく、逆だと思われる。

その日は、平日の夜だったろう。
午前1時前ギリギリで、普段の客足を知らない通りだったが、後1時間ほど唄えれば良い方だと思った。とにかく怖いのは近隣からの苦情だ。しかもビルの敷地内なので、どこかのテナントから口頭で苦情を受ければ止めざるを得ない。
でも、1時間だけなら。

なのに気づけば熊本初日。
終わったのは朝の4時前だった(笑)。

10月だったのでいい加減、空が明るくなって、とまではいかなったが、背面のビルから帰宅するお客さんだけでなく、色々な方が立ち止まってはくれた。
聴いてくれる人がいると興味を持ってくれる人も増え、僕の熊本の街に対する印象はすでに、とても良いものとなっていた。
最後は若い集団で、すぐ近くの店でバイトをしてるという仲間同士だった。
行き先も決まっていない僕だったが、彼らとは笑顔で別れた。
手持ちも、数千円増えていた。

幸いにも(だとは思う)酒の準備が少なかったので、そうして熊本初日の記憶は今も残っている。

すぐに日が昇るはずの街中を、また再び白川へ向かい、僕は白々と明け行く空を眺めながら缶ビールを飲んだ。それは、尻尾を巻いて逃げ出した数時間前よりはるかに美味かった。
そしてスニーカーを枕に眠りに就いた僕は、架橋工事の音ですぐに目を覚まさなければならなくなるのだが。

近所の怪しいサウナに気づくのは、それから三日後だった。
その自由奔放なサウナの話は、また時間を見て。


Googleマイマップ『西高東低~南高北低』
http://maps.google.co.jp/maps/ms?hl=ja&ie=UTF8&msa=0&msid=200525636569057990770.0004585263f0a10720fca&brcurrent=3,0x34674e0fd77f192f:0xf54275d47c665244,1&ll=32.80195,130.707969&spn=0.000997,0.002197&z=19

2 件のコメント:

  1. 写真、変わりましたね^^
    サウナの話、気になります(笑)

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  2. >鯣さん
    季節とか気分で変えてます。
    まだ新潟、雪が降るんです。。

    んじゃあ次はサウナの話でもして、新しい町へ動いてみますわ。

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